北京語言大学の中国語オンライン留学(线上课程)体験記

中国語学習

2023年9月〜2024年6月までの2学期にわたり、オンラインで北京語言大学の中国語学習に参加しました。今回は私の体験紹介します。
(内容は参加する学期によって変更があるため、参考程度としてください。)

さて、北京語言大学で留学生が中国語を学ぶ場合は「北京語言大学応用中国語学院」に所属します。
また、オンライン参加は、日本でよく使われる「オンライン留学」という名称ではなく、「线上课程」として記載されています。
(タイトルは伝わりやすさを優先し「オンライン留学」と記載しています)

募集情報は2024年現在、以下のホームページから詳細が確認できます。
https://admission.blcu.edu.cn/1573/list.htm

  • オンラインのため、締め切りが遅い
  • 週末だけの講座もある
  • 平日夜の講座もある

1. 北京語言大学とは

北京語言大学は、外国語教育の名門として知られる中国の北京に位置しています。留学生を歓迎する環境が整っており、毎年世界中から数千人の留学生が集まります。

クラスにはさまざまな国の学生が集まるため、いろいろな国の方が話す中国語を聞くことで学びが広がります。学校を選ぶ際、通った方々が口を揃えて「先生の質が良い」と答えていたのが印象的でした。

2. オンライン学生の学びスタイル

オンラインで学ぶと聞くと、多くの方は「オンライン学生だけのクラスがある」とイメージされるでしょう。しかし、北京語言大学の学び方はそうではありません

現地組+オンライン組が一緒に学ぶシステムです。(↓こんな感じ)

現地の様子は発言者アングルになるカメラで映し出され、PPTは画面共有されます。先生はマイクを使って説明し、現地組の生徒も発言時に手元のマイクをONにして発言します。

当初、この現地組+オンライン組が一緒に学ぶハイブリッド式には慣れず戸惑いもありましたが、結果的には現地組と一緒でよかったと思いました。

なお、文化体験として万里の長城ツアーの日は休みでしたが、茶館での演技のときは現地のパソコンから何とか繋いで見学できました。

3. 現地組+オンライン組が一緒に学ぶ良い点

最初は戸惑ったこのハイブリッド式の学び方ですが、何よりも良い点は現地組と同じ学びが受けられる作文やVlogコンテストにも一緒に参加できるという点です。

ただ、現地組の会話上達スピードはオンライン組より早い気がしました。2ヶ月を過ぎたあたりからその違いを感じました。
中国語に触れている時間の違いですから、仕方がないかもしれませんが、負けず嫌いの私は「絶対負けない」と思い、授業後に1時間のCCレッスンを追加することで食らいついていきました。悔しさから、朝から晩まで中国語を勉強しました。

おそらくオンラインだけの場合は、ここまで根性が芽生えなかったと思います。現地組が一緒にいることで、モチベーションを高く維持できたように感じます。

また、オンライン組は自分の意思を現地組以上にはっきりと伝えないと置いていかれる傾向があります。
例えば、マイクが聞こえない、黒板に太陽が反射して見えにくい、先生が教科書を指してもどこか分からない、そのイベントはオンライン組の場合はどのように参加するのかなど、言われ待ちをしていたら言われないままときが終わるだけなので、積極的に自己主張する必要がありました。

「声を出してみんなで読む」ターンときは、先生に「マイクオンにして」と言われなくても、ONにして教室と一緒によみました。(他のオンラインの方がOFFでも気にしちゃ負けです!  仲間に「私はマイクも画面もONにする、みんなもしようよ」と言い合いました)
※マイクをONにすると、直接先生に声が届くため、発音を現地組より拾ってもらえる特典があります。

4. クラス分けについて

クラス分けは以下のようなレベルに分かれています:

  • A班:入門
  • B班:初級
  • C班:初中級(HSK4程度の方が多かった)※授業での新出単語がHSK5レベル
  • D班:中級(HSK5取得済の方が多かった)※授業での新出単語がHSK6レベル
  • E班以上:高級

私は1学期はB班、2学期はD班に参加しました。C班を飛び級した理由は、その学期はC班の人数が多く授業中に当たる回数が減るため、D班の方が少人数であり手元にパソコンがいつでもあるオンライン参加の環境であれば、少し無理してもついていけると判断したからです。。

【B班の宿題】
ほとんどが個人ワークで、グループワークもありますが、PDFのページごとに分担できる。グループで中国語を使ってやりとりするのはチャットで済む範囲でした。

【D班の宿題】
グループワークが多く、毎週PPTを作っていたような気がします。
なかでも、数週間かけて中国人にアンケートを取り、PPT制作と論文執筆、そして発表などがありました。これはクラス内のグループから選ばれた2組が、D班とE班で最後に発表し順位が付けられるというものです。
私たちはオンライン参加でアンケートは不利でしたが、一致団結してアンケートフォームを知り合いづてに中国人に配り、クラス代表になりました。(現地に負けるか〜が合言葉です)

余談ではありますが、日本語でミーティングをしたら30分かからない内容が、中国語で会議をするとなると2時間半ぐらいかかる…という体験もしました。

このようにD班はグループワークが多いため、授業時間外に仲間と自主的にミーティングを設けることが多かったです。(最後のグループワークは「お笑いの台本づくりと演技」だったので、みんなで吉本のようにコントの練習しました)。

【D班とE班のレベル差】
私はD班だったのでE班の学習内容については知らないのですが、プレゼン最終発表会はD班とE班合同で行われました。これは各クラスから2グループが選出され、最後にD班とE班で発表会をするというものです。そのときのプレゼンのレベルの差は大きかったように感じます。

D班:事前に口頭の文章を考え、先生に確認してもらう。各自音読練習し、当日はPPTを展開しながら、口頭の文章を読み上げる形式(手元にカンペあり)。

E班手元にカンペがない。PPTをつかってその場で説明したり、客席に問いかけたり、笑いを取ったりしながら、TEDのような形式でプレゼンをされていました。


【その他】
2023年秋は作文コンテスト、2024年春はVlogコンテストが全クラスで開催され、参加はいずれも任意。もちろんオンライン学生も参加可能です。
わたしは作文1位、Vlog2位をいただきました(オンライン学生でも受賞できます)。

5. クラス選びについて

  • 最初の数日はクラス移動ができる(何日後まで移動可能かは期によってルールが異なった)
    →自己判断
    →授業を受けてみて移動できるが、めっちゃ悩む。
  • 予習復習がしっかりできるなら、背伸びして上のクラスに挑戦するのもあり
  • 最初の数日は先生もゆっくり話してくれるが、その状態で理解がほぼできなければ後々辛くなるかもしれない
  • クラスが上がるほど自主性が必要になる(宿題を提出してなかった場合、B班では先生が個別に未提出だよと教えてくれることも多かったが、D班はそのようなサポートはなかった)
  • 現地組はどんどん成長することを念頭に置く
  • 日本人以外の仲間は会話力が高い傾向がある
  • 日本人の場合、会話でレベルを合わせると読解が物足りないかもしれないので、自分がどこの部分を伸ばしたいか……を事前に考えてから選ぶのが良い
  • オンライン組のモチベの高さなどは、運も多いけれど……、個人的には声掛け、チームの構築を自分も輪に入ってやるかどうかなと感じたので、盛り上がらない理由には自分が受け身な体制であることが考えられる(先生は特に何もしない)。

6. 英語能力が必要?

時々、中国留学で「英語が必要性」という言葉を目にすることがあります。
オンライン学習の範囲での所感は以下の通りです:

  • B班:先生は中国語でゆっくり説明するが、英語も使う。海外の学生たちは英語で質問し、不明な単語は英語で伝る傾向があった。
  • C班:先生は中国語で説明するが、クラスメイト同士の会話(休み時間)は母国語や英語が多い。(友人談)
  • D班:先生は完全に中国語オンリーで数週間もすれば話すスピードも早くなる。生徒同士は中国語だけで会話ができる。(D班の現地組はクラス全員でワイワイ楽しんでるな〜という印象でした)

英語が全くわからない私にとっては、授業ないで英語が入るB班は少ししんどかったです。D班は中国語だけで問題ないので楽でした。

7. テストについて

テストは学期の終わりに期末テストがあります。内容は現地組と同じです。

8. オンライン参加を2学期して感じた成果

【1学期目】
HSK4級を持っているものの、全く口から中国語が出てこない状態でした。会話のクラスでは自分だけ何も答えられず、先生に「どうして私はしゃべれないの?」と質問ばかりしていました。
先生は丁寧に返信し、勉強方法も教えてくれました。学期終了後には、話すことが怖くなくなり、ゆっくりと話せるようになりました。B班は初級なので文法を中国語で学べたのがよかったです。

春休みの2ヶ月間でHSK5級合格、HSKK初級合格を達成しました。

【2学期目】
目標を「会話力アップ」にしぼりました。
しかし、会話力以上に感じたのは「作文スピードのアップ」と「作文能力の向上」でした。毎回作文の宿題が出たので、こなしているうちに400文字に対する嫌悪感がなくなりました。
また、グループ発表が多かったので、中国語を人前で話すことへの何も抵抗感がなくなりました。

なお、会話力かなり向上したと感じています。(ただし上述したとおり、授業の他にCCレッスンを毎日50分いれてました)。
学期中はあまり感じませんでしたが、期末テストの勉強を授業外で8時間ほどしていたら、学期終了後には「しゃべってる!やったね」とCCレッスンの先生に言われました。

リスニング能力も授業を真面目に受けていれば問題なく上がって行くと思います
HSK5級の試験問題は、リスニングの部分などとくに勉強せずに受験しましたが、問題なくクリアできました。
1学期最初は先生の中国語を脳内で翻訳していましたが、2学期になると脳内翻訳なしで理解できるようになりました。

9. 授業料の支払いシステムについて

授業料の支払いシステムには少し不満があります。

1学期目はオンライン支払いができたのですが、2学期目からは銀行入金のみとなりました。
日本から中国の銀行に入金するのは非常に時間がかかり、入金できないこともありました。

WeChatで問い合わせたところ、「日本からの銀行入金は時間がかかるので、授業が始まった後でも良い。または、中国人の友達に頼んでアリペイで支払ってもらうこともできる」とのことでした。

結局、私が支払い完了できたのは、授業が始まったあとでした。

このようなシステムは厳しいのか緩いのか分かりませんが、慣れてしまえば問題ありません。

また、メールの返信は2週間以上かかるのに、WeChatで聞くとオンタイムで返信が来るという中国あるあるも体験しました。

10. 結果としておすすめできるのか

これは人によると思います。

現地に行けないけれど中国語を中国語で学びたい、いろんな国の人と学びたいという人にはおすすめです。

日本国内の授業や日本人向けのオンライン留学と違う点は、仲間の国籍がさまざまであることです。
・世界中の学習者の中国語が聞ける;日本人の話す中国語とは違いました。
・世界中の学習者のことが知れる:家紹介や自国では…のようなグループワークがありさまざまな価値観を知ることができました

しかし、オンラインで仲間と学ぶには自分で自分を管理する能力、ネットを通じて仲間とコミュニケーションを取る能力が必要だと思います。
それができないと「ただ映像授業を受けている」のと同じになってしまい、長期間の授業ではだんだんと授業への熱意が低下してしまうかもしれません。

私は、クラスのメンバーが固定したなと感じた時点で、まずオンライン組だけのグループチャットをつくったり、話しかけたりして早めにチーム感を作ることを意識しました。

オンライン仲間同士でのモチベーション維持のための声掛けなどを率先してできるタイプ、そこに乗っていけるタイプなら楽しく学び続けられると思います。


このブログが、オンライン留学を検討している方々にとって有益な情報となることを願っています。
北京語言大学でのオンライン留学は、新しい形の学びの可能性を広げ、充実した学習体験を提供してくれました。

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